医療接遇と通常の接客マナーの違い

医療業界で働く人が身につけなければいけないスキルの一つに医療接遇があります。医療接遇とは患者やその家族の気持ちに立って思いを寄せて対応をする対人スキルのことです。看護師の中には営業を始めとした接客業で用いられるマナーと混同している人も少なくありません。一見するとお客様と接するという点でどちらも同じように感じられますが、実際は細かい部分に違いがあります。対人の基本とも言える挨拶では、接客マナーが背筋を伸ばすなど作法を重視するのに対して、医療接遇は緊張や不安を与えないことを心掛けなくてはいけません。身だしなみについても、医療接遇は清潔さを保つだけでなく、安全に仕事ができるように機能性の面にも配慮が必要となります。

いくつかあるポイントで、接客業と大きな違いが出るのが言葉遣いです。飲食店や営業などで仕事をする場合には、常に明るく笑顔で接することが求められます。しかし、医療の現場では病気や怪我の治療に苦しんでいる人に明るい笑顔で接することで、患者の神経を逆撫でしてしまうケースも少なくありません。その場の雰囲気や相手の精神状態をしっかりと見極めて、状況に応じて声のトーンや言葉の選び方に注意することが大切です。受付などの事務作業も一般的な接客マナーとは異なる部分はあります。自分の仕事だけに没頭してマニュアル通りの作業をするのではなく、待合室の動向を注視して積極的に話し掛けてストレスを緩和する工夫が必要です。